ローン審査と融資管理の仕組み
融資は、scoreが合格ならお金を出して終わりではありません。返済可能性を理解し、条件を決め、契約後も変化を監視し、延滞・引当・支援まで管理する長い仕事です。
銀行ビジネスと主要商品を、利用者・銀行・会計の視点から理解する。
先に学ぶ内容 — Prerequisite: 基礎学ぶこと — LEARNING GOALS
このページで学ぶこと
- 申込みから実行までの審査flow
- 返済能力・担保・保証・金利の関係
- 実行後の債権管理とmodel governance
体験25 · LOANS(申込と融資の実行は別)
融資を申し込んだら、その場でお金が口座に入るか確かめよう
まずは予想をひと言。本文を読んだ後、実際の画面で申込の状態を確かめます。
- 01まず予想する — PREDICT
まずここだけ:思ったことをひと言書く
ローン画面で融資を申し込んだ直後に、実際に口座残高が増えると思いますか?
正解でなくて大丈夫です。「〜だと思う」から始めてみましょう。
ヒント1を見る
申込は「お願いする」こと、実行は「お金を動かす」ことです。この2つが同じとは限りません。
ヒント2を見る
申込のあと、画面の状態表示がどう変わるかを見てみましょう。
もっと詳しく:この問いで使う専門用語
- Credit decisionは、金額・期間・金利・条件を含め融資可否を権限者が決めることです。
- 申込と実行の分離は、審査や承認では資金を動かさず、実行の瞬間に初めて貸付金と預金を計上する設計です。
- Maker / Checkerは、提案する人と決裁する人を分け、1人の誤りや不正で融資が実行されないようにする仕組みです。
日常語で理解する — PLAIN LANGUAGE
まず、ここだけつかむ
ローン審査は、申込者が契約どおり返済できるか、借入れが過剰にならないかを情報と判断で確認するprocessです。
収入やscoreだけでなく、既存借入、返済計画、資金使途、cash flow、担保・保証、外部環境、portfolio集中を商品に応じて見ます。
融資実行後も、利息、返済、延滞、条件変更、信用状態、引当を継続管理します。審査より長い債権管理が必要です。
順番に理解する — DIFFICULT PARTS, STEP BY STEP
難しいポイントを、順番にほどく
専門用語を覚えることより、「なぜ必要か」「このシステムのどこで使うか」を理解することが目標です。
返済能力
将来の収入やcash flowから、生活・事業を維持しながら返せる力です。
担保処分ではなく、通常の返済を基本に融資するためです。
収入・既存借入のmodelはなく、教育用の根拠チェックリストを人が確認します(lending.propose)。
信用情報
借入・返済・延滞など、返済能力判断に使う外部・内部情報です。
申告だけでは見えない既存債務や履歴を補います。
信用情報機関との接続はありません。
Credit decision
金額、期間、金利、条件を含め融資可否を権限者が決めることです。
scoreの数値だけに責任を預けず、policyと証跡を残します。
申込→maker提案→別の管理責任者が決裁→実行。提案者は決裁できません(lending.decide、LN013)。
Expected credit loss
将来返済されない可能性を見積もり、早めに損失へ備える考え方です。
延滞確定までriskをゼロと扱わず、健全性と会計へ反映します。
loan loss provisionは未実装です。
Model governance
審査modelのdata、性能、偏り、変更、承認、停止を管理する仕組みです。
AIやscoreは時間と環境変化で誤るため、人の責任と継続検証が必要です。
審査modelはありません。
申込と実行の分離
申込・審査・承認では資金を動かさず、実行の瞬間に初めて貸付金と預金を計上することです。
承認後に状況が変わっても、実行の直前に条件を確かめ直せるようにし、二重実行を防ぐためです。
`lending.disburse`が、承認の有効性・担当者の権限・口座・商品版を再確認して、貸付金と預金を1つの仕訳で計上します。
発展 — ADVANCEDもっと詳しく確認する最初の学習では読まなくても問題ありません。仕組みをもっと深く理解したい場合に開いてください。
融資審査の目的
審査は『返せそうな人だけ選び銀行を守る』だけではありません。顧客に過剰な借入れをさせず、資金使途と返済原資を理解し、riskに合う金額・期間・金利・担保・保証・条件を決める仕事です。
住宅loan、card loan、中小企業融資、大企業融資では必要情報と判断方法が違います。1つのscoreですべてを判断せず、商品・顧客・金額に応じたpolicyを持ちます。
申込みから融資実行まで
- 01顧客、本人、実質的支配者、申込意思を確認する
- 02借入目的、希望額、期間、返済方法を受け付ける
- 03収入・cash flow・既存借入・返済実績・資産負債を確認する
- 04信用情報、反社会的勢力、fraud、AMLなど必要な外部・内部情報を確認する
- 05返済原資、感応度、担保・保証、portfolio集中を分析する
- 06policy・権限に従い、自動判定または担当者・審査会が決裁する
- 07金利、返済日、covenant、手数料、担保など条件を提示・説明する
- 08顧客同意と契約を記録し、融資金を実行する
- 09返済予定を生成し、残高・利息・入金・延滞を継続管理する
何を見て判断するのか
| 観点 | 個人の例 | 企業の例 |
|---|---|---|
| 返済原資 | 安定収入と生活費後の余力 | 事業cash flowと利益の質 |
| 既存債務 | 他社借入、毎月返済、利用枠 | 借入金、保証、lease、off-balance債務 |
| 履歴 | 返済・延滞・口座利用 | 決算推移、税、取引実績、経営者情報 |
| 目的と期間 | 住宅、教育、消費など | 設備、運転、買収、再生など |
| 担保・保証 | 不動産、保証会社など | 不動産、売掛債権、信用保証など |
| 外部環境 | 雇用・金利変化への耐性 | 業界、市場、為替、原料、顧客集中 |
金利は利益率だけで決まらない
貸出金利は、資金調達cost、事務cost、期待信用損失、必要資本、期間・金利risk、担保・保証、競争、顧客関係などを踏まえて決まります。同じ金額でも、返済期間やriskで条件が変わります。
| 構成要素 | 意味 |
|---|---|
| 調達cost | 銀行が資金を用意するためのcost |
| 業務cost | 審査、契約、monitoring、回収、systemのcost |
| 信用risk premium | 将来の貸倒れに備える部分 |
| 資本cost | 想定外損失を吸収する自己資本に必要なreturn |
| 期間・市場risk | 長期間の金利変動や流動性のrisk |
| 収益margin | 事業を持続させるための利益 |
融資した後のほうが長い
融資実行後は、元本残高、利息発生、返済予定、入金充当、繰上返済、条件変更、延滞日数、担保、保証、顧客状況を管理します。返済が遅れた時は自動督促だけでなく、原因を把握し、支援・条件変更・回収など適切な対応を判断します。
- 約定どおりの入金を元本・利息・費用へ正しい順で充当する
- 顧客状態の悪化を早期warningとして検知する
- 貸出区分と予想損失を更新し、必要な引当を計上する
- modelの予測と実際の貸倒率を継続検証する
- 特定顧客・業種・地域への集中をportfolioで監視する
- 条件変更・延滞・回収の判断と顧客連絡をaudit可能にする
自動審査とAIで忘れてはいけないこと
| risk | 必要なcontrol |
|---|---|
| 誤ったdata | 出所、鮮度、訂正、欠損、本人との対応を管理 |
| 偏り・不公平 | 代理変数を含む差別的影響をtestし、定期monitoring |
| 説明不能 | 主な判断理由を再現し、人が異議・例外を扱えるようにする |
| model劣化 | 景気や顧客行動の変化を検知し、再validationする |
| 自動化への過信 | 高risk・例外・境界値を人の審査へ送る |
| 権限濫用 | data利用目的、閲覧権限、決裁権限、overrideを監査する |
実際のMinibankでは
Minibankには、個人向けの学習用融資(固定年利6.00%・元金均等12回・架空)が実装されています。申込、人による審査の提案、別の管理責任者による決裁、実行、日割利息、返済、延滞、デフォルト分類、専用の訂正までを、顧客画面「ローン」と管理画面「融資・与信」で体験できます。
実装していないものも明確です。信用情報、自動の与信モデル、担保・保証、貸倒引当、繰上返済、法人融資、実際の回収はありません。KYC verifiedや口座残高だけで融資可能とは判断せず、審査の根拠は教育用のチェックリストで人が確認します。
この教材の前半は、実際の銀行の融資一般の考え方です。MiniBankの実装は『申込と実行は別』『提案者は決裁できない』『実行の直前に承認と権限を確かめ直す』『貸付金・預金・GLを1つの仕訳でつなぐ』という部分を、小さく動かして確かめるためのものです。
体験学習の続き · LEARNING LOOP
ここまで読めましたか?続けて確認してみましょう
融資審査の考え方を読んだところで、実際の画面で申込の状態を確認し、自分の言葉で説明してみます。
- 02実際に操作する — OPERATE
同じ仕組みを、動く画面から観察する
実際の顧客画面を開いて操作し、この教材へ戻ります。リンクは新しいタブで開きます。ログインが必要です。
アカウントがない場合は新規登録が必要です。本人確認・口座開設には管理者承認が必要です。承認前や操作できない場合も、この教材内の図・説明・Source Trail(教材の参照元)で代替学習し、次へ進めます。
ログイン・新規登録の入口を開く ↗操作できない場合:教材の参照元で確認する ↓もっと詳しく:管理者の画面で観察する
管理者ログインが必要です。権限がない場合は、次の「証拠を確認する」の教材による確認で進められます。
- 03証拠を確認する — EVIDENCE
何を見たか、1つずつ確かめる
Evidence(判断の根拠となる記録)を確認したらチェックします。各項目の「何を見るか」を手がかりにしてください。
画面を開けない項目は、Source Trail(教材の参照元)と教材の説明で確認できます。失敗を実際に起こす必要はありません。
- 04コードの処理経路を追う — CODE TRAIL
コードを書く必要はありません
ここでは「説明されている仕組みが、実際のMini Bankのどこに実装されているか」を確認します。まずは日本語の役割説明を読み、入力した依頼がどこへ渡るかをつかみましょう。コードの全文を読む必要はありません。
まず画面の入口を見て、次に申込と実行の処理を見ます。申込の処理が仕訳を作らず、実行の処理だけが貸付金と預金を計上していることを確かめましょう。
教材の参照元を確認する — Source Trail ↓顧客のローン画面の入口。申込と契約の取得元を探します。
src/app/app/loans/page.tsxlending.apply(申込)と lending.disburse(実行)がどこで資金を動かすかを探します。
supabase/migrations/20260930100000_v14_lending.sql - 05自分の言葉で説明する — EXPLAIN
LEVEL 1 — やさしい説明(まずここだけ)
なぜMinibankは、融資の申込と実行を別の段階に分け、その間に審査と決裁を置いているのでしょうか? 短い2文を目安に説明してみましょう。
日常語だけで完了できます。専門用語の数や正誤を自動採点するものではありません。
ヒント1を見る
「申込」と「実行」という2つの言葉を使って書いてみましょう。
ヒント2を見る
なぜ、申込と実行の間に審査と決裁の段階を置くのか考えてみましょう。
もっと詳しく:LEVEL 2 — 専門用語を使った説明(任意)
返済能力、Credit decision、申込と実行の分離の3つを使って、融資の安全な進め方を説明してみましょう。
挑戦する場合は、上の説明欄に追記できます。追加しなくても完了できます。
説明の確認ポイント — Checkpoint- 申込だけでは口座残高が変わらないと確認できる
- 申込と実行が別の記録で、間に人の審査と別の人の決裁があると説明できる
理解を確かめる — CHECK YOUR UNDERSTANDING
5問で理解チェック
答えを頭の中で考えてから、各項目を開いて確認してください。
Q1KYCが完了すればloan審査も合格ですか?
違います。本人確認と返済能力・信用riskの判断は別です。
Q2担保価値が融資額より高ければ返済能力は不要ですか?
不要にはなりません。通常の返済原資を確認し、担保価値の変動と処分costも考えます。
Q3審査modelの精度が高ければ人の管理は不要ですか?
不要にはなりません。data品質、偏り、説明、環境変化、overrideを継続管理します。
Q4融資を申し込むと、その場で口座残高は増えますか?
増えません。審査・決裁を経て、実行されたときに初めて預金が増えます。
Q5融資実行でloan systemの仕事は終わりますか?
終わりません。返済・利息・延滞・条件変更・引当・回収まで長期に管理します。
完全に暗記する必要はありません。大切な考え方を説明できそうなら押してください。
業界・外部の参照元 — INDUSTRY / EXTERNAL SOURCE
業界資料・参考文献
一般論と業界知識の根拠です。外部サイトを新しいタブで開きます。
- 金融庁 — 中小・地域金融機関向け監督指針:消費者向け貸付け
返済能力、既存借入、信用情報、過剰貸付け防止の着眼点
- 金融庁 — 中小・地域金融機関向け監督指針:信用リスク
信用riskと大口・集中riskを含む銀行監督上の基礎
- Basel Committee — Principles for the Management of Credit Risk
信用供与、管理・測定・monitoring、controlに関する2025年の国際原則
教材の参照元 — SOURCE TRAIL
根拠と関連教材
CURRENT IMPLEMENTATIONは確認したrepository内の実装です。HISTORICAL IMPLEMENTATIONは導入・修正の履歴で、後続migrationによる再定義があり得ます。RELATED LESSONは教材への案内で、実装の一次Sourceではありません。ASSUMPTIONは仮定、UNKNOWNは未確認を表します。
確認基点: d02eae8914f39cbf06bfe422dc39c71886f82b3e / 2026-09-11。稼働環境への適用確認: UNKNOWN。パス実在の自動検査と、記述した技術的事実の確認は別です。
- 現在の実装 — CURRENT IMPLEMENTATION
src/app/app/loans/page.tsxLoansPage()顧客画面「ローン」。実契約を取得して表示する - 現在の実装 — CURRENT IMPLEMENTATION
supabase/migrations/20260930100000_v14_lending.sqllending.decide / lending.disburse別の管理責任者による決裁と、実行時の条件の再確認 - 現在の実装 — CURRENT IMPLEMENTATION
scripts/banking/v14-lending.test.mjs審査・決裁・実行・利息・返済・延滞・訂正のDBテスト - 関連教材 — RELATED LESSON/docs/be-lending-basicsMiniBankの融資の実装(申込・審査・決裁・実行)
- 現在の実装 — CURRENT IMPLEMENTATION
src/app/api/v1/customers/me/kyc-submit/現在の本人確認API。融資審査そのものではない